ダンサー田中泯さんの「オドリ」を初めて観にいった話
珍しくいい感じで盛れた、今日の朝食の写真を撮ってみた。
こんな感じ。
蓮根とツルムラサキのまぜご飯。
オクラと焼き海苔の白和え。
キムチとジャガイモ。
青いお茶碗は、soranoutuwa(そらのうつわ)さんという鎌倉の陶芸家さんの手作り。
水色のお皿は橘吉(たちきち)さん。
お盆は100円ショップ(笑)
一番テンションが上がるのは、キムチの隣のふかしたジャガイモ。
紫色をしているが、れっきとしたジャガイモである。
品種改良されていない種芋から作った、いわば古代ジャガイモといえばいいのだろうか。
ほのかに苦みがあり、とても力強さを感じる風味に感動した。
これはダンサーの田中泯さんが、自身の畑で作ったものである。
先日、京都でのソロダンス公演を観に行った時に購入した。
田中泯さんのダンスを生で拝見したのは初めてである。
それはそれ衝撃的な体験となった。
会場は京都の韓国料理店「素夢子古茶家(そむしこちゃや)」というお店。
観客は60名ほどで、店内のフロアがほぼ埋まるくらいだった。
泯さんの舞台は壇上のステージで行うのではなく、観客と同じ目線、同じ空間の中で、その表現を見せてくれる。
(今回のとは別で「場オドリ」という演目があるのだが、それは街の一部を貸し切り、泯さんが屋外の普通の路地や広場を動き回る姿を、間近で見れるというものである)
振付は特に決まっていない。
効果音や音楽はあるが、泯さん自身、今日はどんな音に合わせて踊るのか知らない状態で、踊りが始まる。
ほぼ、高次元から降りてきたものを、そのまま体現して見せてくれる感じだ。
始まりはお店の玄関外からだった。
戦闘機のような効果音が流れ出し、泯さんはどこから現れるのだろうと姿を探していると、いつの間にかお店のガラス戸の外にいた。
すでに「オドリ」の世界は始まっていた。
いわゆる普通の「舞い踊る」ダンスの動きは、あまりない。
とても抽象的・精神世界的で、人間のあらゆる感情がくるくると入れ代わり立ち代わり現れるような、そんな世界を見せてくれた。
面白かったのは、1時間の演目の1/3ほどは、玄関先の屋外で踊ったことである。
当然、往来を人が行き交う。
何も知らない通行人は「何事?」「え?体調不良?」と泯さんを見る。
店内からそれを見ている観客はハラハラドキドキするも、それも一つの醍醐味だと次第に分かってくる。
往来の君たち、ラッキーなのだよ。この場に居合わせたのは!
(2度見する人がたくさんいました(笑))
泯さんのダンスは「ハイパーダンス」と言われる独自のスタイルらしい。
しかし元々は、バレエやモダンダンスを学んでいるので、ベースにはバレエの素地も感じられる。
また、暗黒舞踏家の土方巽さんにも影響を受け、そのほか俳優としても活動している。
しかし、ご本人はあくまでも自分は「ダンサー」「舞踊家」だと言っている。
あまり自分の表現や活動をカテゴライズされたり、肩書を命名されるのは好まないのだろう。
街を行き交う人々の中でも、自分の空間を作り上げ舞い踊る姿を見た時に、ダンサーとして「自由でいること」を大切にしている人だと感じた。
(この時流れていた音楽がバッハの「シャコンヌ」。当然、往来にも響いていただろう。何て贅沢。)
店内と往来までも巻き込んだ粋な演出、素敵な体験だった。
公演終了後は、ちゃっかりご本人と握手もさせてもらった。
今度は「場オドリ」を是非観に行こう。
最後まで読んで頂きありがとうございます。