ショートストーリー ふたりの杖を持った男性
今日は、街で目に留まった人について書いてみました。
☘ひとり目
以前、とあるコンサートホール近くで見た男性について。
40代くらいだろうか、その人は両方に大きな荷物を抱え歩いていた。
片方は、多分ケースに入ったコントラバス。
もうひとつは、大きくて重そうなバッグを肩に掛けていた。
そして、空いた方の手で杖をついていた。
こうして文章にしてみると気付くのだが、
その状況は、ぜひ手を差し伸べ、荷物運びを手伝ってあげるべきだろうと思われる。
しかしこの男性、そんなものは必要ないくらい、慣れた雰囲気でさっそうと歩いていた。
「手伝ってほしい」オーラは全くない。
そして「俺は手伝ってくれなくても平気」という強気オーラもなかった。
この人にとっては、多分これが普通で日常的なことなのだろう。
なのでその時、この人に声を掛ける人は一人もいなかった。
仮に、声を掛けられても「ありがとう、大丈夫ですよ」と爽やかに返事をしそうだ。
真っすぐな姿勢で歩いていたこの男性。
その居住まいが、めちゃカッコよかった。
☘ふたり目
JR三ノ宮駅近くの交差点にて。
ひとりの年配男性に目が留まった。
たぶん年はゆうに70歳を超えていただろう。
その人は、着流しの着物姿にカンカン帽をかぶり、杖をついていた。
正直、とてもヨボヨボした足取りだったが、出で立ちが素敵。
しかも、見た目はおじいちゃんなのに、色気が半端なかった!
色気はとても大事なもの。
そして、子供でない限り年齢性別関係なく醸し出せるものだと思う。
色気をいやらしいと嫌厭する人もいる。
人の色香が災いをもたらすことも、事実あると思う。
何でも陰があれば陽がある。
私は、色気は生きる気力に結びつくものだと思いたい。
人から感じる色気も、自分の中からにじみ出る色気も。
それを感じるうちは、死ぬことなんて考えない。
色気のある人を羨ましいと思う人は、それを飛び越え、ぜひマネして欲しい。
私も目いっぱいマネしてる(笑)
ちなみに着物は、性別問わず色気を出すには格好のアイテムだと思う。
日本人はその最強アイテムの文化をすでに持っている。
目いっぱい活用しようではないか。
最後まで読んで頂きありがとうございます。