城崎温泉、仲居のお仕事の思い出
いつもブログを読んでくれる方、お星さまをくれる方、本当にありがとうございます。
文章を書いて校正するのが超絶遅いので、更新頻度が低いのですが、飽きずにコツコツ続けたいと思っています(^^)。
では今日のブログへ。
先日のブログで少し触れた、城崎温泉での思い出をひとつ書いてみようと思う。
そう、10年ほど前に城崎温泉の旅館で半年間、住み込みの仲居をしていたことがある。
冬の蟹シーズンの仕事だったため、毎日の天気は山陰地方特有の曇天ばかり。そして時々、雨、雪になる。もちろん雪深いことは承知だったが、晴れ間が滅多に見れないことがこんなにも辛いとは思わなかった。
太平洋側で育った人間として、太陽がいかに有難いものか、身に染みた。
普段、あまり人と関わりたがらない自分でも、こういう特殊な慣れない環境に入ると、自然と人との接点を求めるようになる。当時の同僚とは今はもう接触していないが、あの時だけの人間関係でも、それはそれで貴重な思い出になっている。年齢層、性別、国境を越えて、色んな人生を抱えた人たちと仕事し、互いの部屋でだべり、オフの日は飲みに行ったりした。仕事内容は、当然楽なものではなく大変だったが、その分、精神的に変われた部分も大きかったと思う。
そんな中、ひとりの中国人の女の子のことを、今でも思い出すことがある。
西安出身の20代前半くらいの子だったが、日本の映画が好きで、日本に憧れて2年間契約で城崎に仕事に来たとのことだった。
しかし、慣れない日本の温泉街で、日本語もほぼ話せない、それに加え仲居の仕事も自分には向いていないようだと言っていたので、結構辛そうだった。
私は半年契約の派遣だったので、彼女より先に仕事上がりとなり、最後の日に二人でカフェでお茶をすることにした。
私は中国語が全く分からないし、彼女も英語が全く駄目だったので、唯一のコミュニケーション手段である”カタコトの日本語”でしゃべった(笑)。
なかなか新鮮な経験である。
どんな日本映画が好きなのか聞くと、岩井俊二監督だというのでちょっとびっくり。
岩井監督の映画というと、日本では比較的ミニシアター系で上映されるので、自分の周りにも好きという人が少ない。中国の場合、岩井作品は劇場公開はされないので、特に有名ではないらしい。その代わり、コアな日本映画を扱うレンタルショップがあるそうで、彼女はそこで岩井作品を知ったとのことだった。
「花とアリス」が特に好きだと言っていた。いかにも、あの映画に出てくる蒼井優や鈴木杏を思わせる穏やかな雰囲気の子だったので、とても彼女らしい好みだと思った。
お互い日本語もあまり通じないまましゃべっているのに、こんな風にやり取りが進むのは、なんだかとても嬉しかった。しかも、私も岩井作品は好きだし。
もっと言葉が通じたら、もっと色々話せたのだろう。特にお互いの住所やメアド交換などもせずお別れした。
しかし、こういうささやかな経験は、外国人同士だと互いの国に対する思い込みを取り払うことに繋がると思う。
あれから無事に中国に帰り、元気にしているだろうか。
(写真はブログ内容とは全く無関係です。何んとなーくイメージで添付しました。)